デザイン経営プロジェクト「アラカシ」終了レポート
〜見つめ直す時間が、未来の力になる〜
宮崎県が今年度実施したデザイン経営プロジェクト「アラカシ」。
約半年間にわたる9社の選定事業者への伴走支援が、このたび無事に終了しました。
私はその中で、創業76年を超える和菓子舗「虎彦」さんの支援を担当させていただきました。
悩みは「前に進んでいるのに、なぜかモヤモヤする」
参加された事業者の皆さん、それぞれが前向きに挑戦しながらも、共通して感じていたのは
「頑張っているのに、どこか違和感がある」という声でした。
◎商品をどう知ってもらえばいいのか?
◎自社の“価値”をどう表現すれば伝わるのか?
◎この方向性で合っているのか…?
そんな問いに向き合う日々。
改めて「自社を見つめ直す時間」が、経営の土台をしっかり築くために必要だと実感しました。
本音で語れる関係性に、支援者として感謝
虎彦さんの支援を通して私が感じたのは、信頼があってこそ、前に進めるということ。
お忙しい中でも時間をつくってくださり、時には本音で悩みや迷いを打ち明けていただいたこと。
支援者として、心からうれしく、大切な時間でした。
虎彦さんの支援にはミテモ株式会社の中村さんとともに進めていきました。
中村さんは虎彦さんへはもちろん、支援者側の私への壁打ちに何時間も、何度も付き合ってくださり、複雑な情報の中から本質を見出すプロセスは本当に貴重な学びでした。
支援者の私自身も、たくさんの気づきを得た半年間。
あの時間があったからこそ、私自身の支援の軸も、よりクリアになった気がします。
ビジョンマップは、仲間づくりの道しるべ
今回の支援では、虎彦ビジョンマップを作成しました。
これは、これからの方向性や価値を整理し、可視化していくものです。
ビジュアル化というよりも、整理された言葉が肝。
だからこそ、あえてアナログな手法でつくることで、言葉の重みや意味をしっかりと考える時間になります。
さらに、ビジョンマップはつくって終わりではなく、
「どう活用していくか?」までが重要。
私は動画や三つ折りパンフレットといった、形にするツールづくりも支援させていただきました。
伝える設計があることで、チームの動きが加速する。
これを実感できたことも、大きな成果のひとつです。
虎彦さんの未来へ、心からのエールを
虎彦さんは、郷土に根ざしながらも、未来へと挑戦を続ける企業。
このプロジェクトを通して見えてきたのは、「伝統」と「革新」の間にある大切なものを、どう繋いでいくかという視点でした。
まだまだこれから。
でも確かに、足元からしっかりと土台が整い始めている。
虎彦さんの未来が、明るく希望に満ちたものになるように。
これからも応援しています。





デザイン経営とは?
デザイン経営とは、単に“見た目を整える”ことではなく、
経営の根幹に「デザイン(設計と思考)」を取り入れること。
「何を大切にして、誰に届けていくのか」
「そのために、どう魅せ、どう伝えていくのか」
その問いをチームで共有しながら、経営の意思決定を進めていく考え方です。
中小企業や地域の事業者にこそ、この視点が大きな力になると、私は強く感じています。
来年度も宮崎県が開催する事業にぜひご参加いただければと思います。